2020年度第2回「AI・DX・セキュリティー研究部会」を開催

 当学会は2020年11月7日、「アフターコロナのDXと経済安全保障」をテーマに、今年度第2回のAI・DX・セキュリティー研究部会を開催した。同部会長の原田泉・日本危機管理学会会長(国際社会経済研究所上席研究員)が講演し、新型コロナウイルス感染拡大で普及が加速するデジタルトランスメーション(DX)と経済安全保障の関係を解説。その上で、両者の両立に向けて日本が目指すべき方向性を提言した。

(提供)原田泉会長

 原田氏は新型ウイルス感染拡大によりDX化が加速すると同時に、それに伴って経済安全保障上の課題が浮き彫りになったと指摘。例えば、デジタルの世界は米国、中国両陣営が二分しつつあり、その中で各国は「情報管理」にどう向き合うべきかという難題に直面している。このため、経済安全保障を確保するための対策は「待ったなしの状況にある」という。

 こうした中、日本政府も先端技術を扱う民間人の信用を測る制度を創設し、企業や大学でのスパイ活動を取り締まる対策の拡充を目指す方針を表明している。しかし、原田氏は「『経済安保リスク管理室』を新設する企業も出てきているが、世界から見るとまだ遅れている」などと懸念を示した。

 さらに原田氏は提言の中で、日本企業は米国の情報ガイドラインを参考にセキュリティーレベルを上げるべきだと強調。そして、安全を他国の企業に任せず、サイバーセキュリティーの「自給率」を上げていく重要性を訴えた。

【米村大介】