2020年度第1回「企業危機管理研究部会」を開催
「最新の企業をめぐる危機管理情勢」について議論

 当学会は2020年10月24日、企業危機管理研究部会(部会長・大森朝日理事)の2020年度第1回会合「最新の企業をめぐる危機管理情勢」を開催した。今回は3人が報告し、それを受けて質疑応答や意見交換が行われた。

 最初の報告は、松本敬史氏(東京大学未来ビジョン研究センター客員研究員/有限責任監査法人トーマツ・マネジャー)による「AIサービスのリスク低減を検討するリスクチェーンモデル」である。

 人工知能(AI)の信頼性に関わる問題が発生しつつあり、その不確実性も増す中で、松本氏は「信頼できるAIサービス」をどのように実現できるのかという課題にアプローチしている。各種団体や企業がAIに係るガイドライン等を策定しており、同氏が提案するのは「AIサービス固有の重要なリスクシナリオ」を識別し、様々なリスク要因の関係性(=リスクチェーン)を捉えるモデルである。

採用AIのリスクチェーンの例
(出所)松本敬史氏

 このリスクチェーンのモデルでは、AIサービスの特徴ごとに代表するリスクを見出し、リスク要因が技術か運用かユーザーなのかを抽出して結び付ける。そのチェーンに基づいてリスクを下げるというわけだ。現在、松本氏は様々なケーススタディを行っており、今回は「採用AI」を例に挙げてリスクチェーンモデルを説明した。

報告者・松本敬史氏

 続いての報告は、飯塚康之氏(万来社代表・危機管理セミナー講師)による「コロナ後のリスクマネジメントを提案する~起こってしまった危機に、どう対処するか~」である。コロナ禍により、様々なリスクが顕在化した。イベントなどは相次いで中止や延期に追い込まれた。飯塚氏は起こしてしまったらどうするかが大切であり、危機管理を「いつ起こるかわからない予防的なもの」とせず、常に予算化する「日常性」が大事だと指摘した。

報告者・飯塚康之氏

 最後の報告は、部会長の大森朝日氏(株式会社大森朝日事務所代表)による「記者会見における危機管理対応の変化~衆人環視下の問題点~」である。

 コロナ禍が記者会見のネット中継化を加速し、今までの「記者の独占」から「一般化」する変化が生じている。報告後は、記者会見のあり方や取材について活発な意見交換がなされた。

報告者・大森朝日氏

 今後、日本危機管理学会は以下の研究部会を予定している。会員、非会員を問わずご興味のある方は振るって参加していただきたい。詳しくは当ホームページを参照ください。

11月7日「AI・DX・セキュリティー」 研究部会(2020年度第2回)
11月29日安全保障研究部会(2020年度第1回)