2024年度第6回危機管理勉強会について
日時:2024年12月26日(木) 19:30~21:30
場所:リアルタイムオンデマンド(Zoom)
講師:倉持 一先生
テーマ:最近の中国海警局の動向から見た,中国海洋安全保障戦略のグローバル化
概 要:本発表ではまず、海洋安全保障の前提として理解すべき古典地政学の主張を整理する。それにより、国家は生存圏拡大という生来的使命を果たすため、海洋安全保障戦略の下、外洋へと拡張する性質を有すること、そしてそれは中国にとっても当てはまる事柄であり、中国の一帯一路がその象徴であること、などを説明する。
そして、中国の海洋安全保障戦略は一帯一路の実現を志向し、かつ、その実現には、2つのチョークポイント(南シナ海、ベーリング海峡)の支配が必要不可欠であることを示す。
その上で最近の中国海警局の行動を精査すると、同局所属の公船の活動範囲が南シナ海、ベーリング海、太平洋とグローバル化しているのと同時に、意図的にAIS(自動船舶識別装置)を作動させて軌跡を公的に記録するという行動を採用していることを説明する。
最後に、こうした中国海警局公船のグローバルな同時運用は、最近際立ってきており、中国の海洋安全保障戦略のグローバル化と指摘できると同時に、一帯一路の実現に向けた国家的行動のしたたかさを示していることを主張する。また、日本との係争海域に関してもAISを活用した記録付けを開始しており、「一帯一路に関するチョークポイント支配」とは異なる別の意図を持った、尖閣諸島周辺海域およびガス田周辺海域での中国海警局の動向に対する見解を示す。
参加資格:会員以外の方でも参加は自由ですが,参加希望者はメールにて事務局に事前に連絡をお願いいたします。またメールでお知らせが届いていない会員の方も事務局に連絡ください。