2020年度第1回「AI・DX・セキュリティー研究部会」を開催

「新たな技術に関する企業倫理と内部統制的活動」について議論

日 時:2020年9月5日(土)10:00~11:30
場 所:ビデオ会議(Zoom)

 当学会は2020年9月5日、AI・DX・セキュリティー研究部会(部会長・原田泉会長)の今年度第1回会合「新たな技術に関する企業倫理と内部統制的活動に関する考察」を開催した。報告者の佐藤誠氏(筑波大学ビジネス科学研究科博士後期課程)が、「AI・データを活用したサービス」の展開時に起き得るリスクと、その統制などについて研究成果を発表した。

 まず、佐藤氏は「企業がAIのリスク管理をする」という視点を提起した上で、AIの定義について「市民の感覚」を考慮する必要があると指摘。また、AIによる人権・プライバシー侵害リスクに対応するには、「人権」と「公共の福祉」、「損害」と「利益」といった天秤を意識しながら統制しなければならないと強調した。

 さらに、AIによる人権・プライバシー侵害リスクの特徴として、SNSなどを通じてすぐに拡散するため、内部統制だけでは管理が難しいと主張。このため、内部統制の手法に加え、工学・社会調査・危機管理といった視点の重要性を訴えた。

報告者・佐藤誠氏

 講演後の質疑応答・意見交換では、「AIによる意思決定はだれが責任をとるのか」「AIの問題にはアルゴリズム単体のほか、社会の文化・倫理との相性という組み合わせの問題もあるのではないか」といった指摘がなされた。これに対し、佐藤氏はAIに対しては内部監査の必要性もあり、AI活用には地域の文化・法律への理解が求められると応じた。

 本会合は当学会初のウェブ会議(Zoom)による研究部会となり、円滑なコミュニケーションが行えるかどうか懸念もあった。しかし、佐藤氏の大変分かり易い解説や事務局・新西誠人会員の入念な準備のおかげで、大きなトラブルもなく成功裏に終了した。

【米村大介】